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みだれ(八橋検校作曲)

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福田恭子第2回博士リサイタルより
(三絃替手:福田恭子/三絃本手:日原暢子)

解説

八橋検校作曲
山口巌三絃替手手付

この作品は、多様な呼称を持ち、《乱輪舌みだれりんぜつ》《みだれ》《りんぜつ》《輪舌りんぜつ》《十段の調》、また平調子の箏替手は《京みだれ》、雲井調子の箏替手は《雲井みだれ》 と称されます。作曲者については、これまでに様々な編曲が加えられている経緯があり、明確ではありません。現行の段物としての《みだれ》については、倉橋検校によって伝えられたという説もありますが、一般的には八橋検校(1614–1685)によって伝えられたとされています。

三絃の作曲については『歌系図うたけいず』(1782)に、《十二段すががき》は生田検校(1656–1715)、《りんぜつ》または《みだれ》は深草検校(生没年不詳)と記されていますが、詳細は分かっておらず、現行の《みだれ》の三絃曲は《十二段すががき》が原曲ではないかと推測されています。元々は、『糸竹初心集しちくしょしんしゅう』(1664)に記されている3段構成の《りんぜつ》が、増作されて3段以上になり、最終的には12段に発展したとみられます。

山田流では12段に区切られ、前歌付の《みだれ》もあります。また、生田流では大阪中之島公会堂に明治天皇が行幸された御前演奏の際に《みだれ》の名称では畏れ多いということで、《十段の調》と名付け、10段に区切ったと言われています。

本演奏は、大正13年(1924)2月19日に山口巌によって《みだれ》の三絃に替手が手付され、この三絃の替手は《三下さんさがみだれ》と称されています。また、三絃替手は、初段は本手主導で曲の始まりを見せますが、段が進むにつれて、本手のフレーズにとらわれることなく、独自の旋律を主張する部分が多く、終始技巧的で細かい旋律が続くのが特徴的です。

箏曲演奏家 福田恭子

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