夕顔(菊岡検校作曲•八重崎検校箏手付)
お香とお箏を楽しむ会より
(箏:福田恭子/三絃:鳥越菜々子)
解説
源氏物語の「夕顔の巻」をもとにした楽曲です。
この物語は、夕暮れに咲く美しくも可憐な女性のそこはかない命に、哀愁を誘う物語を歌詞としています。
源氏は六条御息所にお忍びで行く途中、五条辺にある大貳の乳母の病気を見舞いに立ち寄った。
その家の傍らに粗末な家があって、夕顔の花が垣に咲いていた。簾の向うに若い女達の 姿がちらちら見える。
この家の気品よく、奥ゆかしい女主人は何者であろうかと源氏は素性のわからないこの女に興味を感じ出し、八月十五日の明け方ごろ、 源氏は女の侍女の右近をつれ、附近の寺院に隠れた。
その翌晩、怪しい生霊(六条御息所の霊)に脅かされて女は死んだ。
まだ、お互いに素性は打ち明けていなかった。
という物語です。
歌詞
住むは誰 訪ひてやみんと たそがれに 寄する車の音連れも 絶えて床しき中垣の 隙間もとめて垣間見や かざす扇にたきしめし 空だきものの ほのぼのと 主は白露光を添へて いとど栄えある夕顔の 花に結びし 仮 寝の夢も 覚めて身にしむ夜半の風
箏曲演奏家 福田恭子