投稿記事

2016年度モスクワ・サンクトペテルブルグ公演のご報告

こんにちは、箏曲演奏家の福田恭子です。

今回のロシアツアーは、初めての試みであるイベントが多く、その反応を待ち望んでいました。結果、「また来年も演奏に来てほしい」という言葉を多くかけていただき、一生懸命伝えたい気持ちさえあれば、演奏は言語や文化の壁を越えて人々の心に届くことを実感しました。

将来、若手演奏家が海外へ進出するための基盤作りのほんの第一歩となった演奏ツアーでしたが、初めてのイベントへの参加により継続していくこと、またさらなる海外演奏の発展を願い、今回主催してくださった各関係者の皆様との交流を続けることが大切だと改めて感じました。さらに、それぞれのイベントで出会ったロシア人の方々と繋がることができ、今後のロシアでの活動を広げる一つの手段にしたいと思います。

研究発表

国際シンポジウム研究発表このたび海外で、実演つきの「研究発表」を経験することができ、演奏以外の発表という試みを体験し、大変良い機会となりました。通常、演奏家として、海外で演奏やワークショップは経験できるものの、海外の方々の前で研究する機会はごくわずかです。私自身まだ若手アーティストとして未熟ながらも自身の目標でもある、研究を継続する演奏家として、海外での発表はとても有意義な経験でした。

シンポジウムの発表テーマが“歌語り”ということで、今回の研究によって、自身の専攻の地歌以外のジャンルの日本の伝統的な声楽曲についての種目や特徴を改めて知る良いきっかけとなりました。そして、日本の伝統音楽にはほとんど欠かせないもののひとつである、語りや歌について紹介することができ、日本音楽を伝える一人としての役割をほんのわずかでも達成できたことを実感します。

発表内容は、代表的な種目のみの紹介に割愛することとなりましたが、端歌「ゆき」の実演による発表でしたので、日本の声楽曲の三絃を伴奏とする歌物のひとつを、少しでも感じ取っていただけることができたのではないかと思います。すでに日本の伝統音楽の文化交流が根付いているモスクワでの発表は、意義のある発表であったと感じます。

モスクワ

モスクワ音楽院主催「日本の心〜和楽器で奏でる日本の四季」昨年初めて、モスクワ音楽院において、日本の若手邦楽演奏家による「日本の心」コンサートに出演してから一年が経ち、初年度より、若手演奏家に対して受け入れられている印象が強く残りました。昨年同様、モスクワの観客は若手演奏家に対しても、邦楽を聴く雰囲気はとても温かく、モスクワで再び演奏できる喜びと、邦楽を伝承し継続することができたことを感じます。

また、「モスクワ音楽院世界音楽文化センター内ワークショップ」では、すでに和楽器を経験している、あるいは和楽器に興味があるor馴染みのある方に対するワークショップとなり、対象の方々が、熱心に受け答えしてくださる皆様を見て、日本の楽器を自分の言葉で紹介できるということに、改めて日本音楽を伝承し継承する大切さを考える時間となりました。

昨年度に比べて、世界音楽文化センター内の邦楽を専門とする方々と密に交流することができたうえに、直接会話する時間や、楽器を通して触れ合う機会が多く、より親密な交流ができたことに喜びを感じ、演奏会と時とは異なる舞台と客席の境界線を越えた、価値ある音楽交流の時間となりました。
 

サンクトペテルブルグ

ヤアニ・キリク「和楽器の魅力〜古典から現代〜」「ヤアニ・キリク教会・コンサート」では、今回のロシア演奏ツアーで初めての試みである、サンクト・ペテルブルグでの邦楽コンサートの初日でしたが、教会での邦楽コンサートはとても洗練された雰囲気と、厳かな空間のなか、緊張感のあるコンサートを体験することができました。それぞれの楽器の音色を一つ一つ丁寧に届けることができ、演奏者が自身の演奏を伝えたいというそれぞれの強い気持ちがあれば、海外において邦楽を初めて聴くという方、あるいはすでに邦楽に携わる方や聴いたことがある方にも、演奏を届けることができるということを実感しました。

「サンクト・ペテルブルグ国立文化芸術大学・コンサート&ワークショップ」では、演奏側ではなく、イベントを見守る立場で参加しました。観客の年齢層も同年代か近しい世代が多く触れ合いやすく、互いの国で伝統や音楽を学び伝えているという共通の意思のある若い世代のロシアの方との文化交流ができたことは、とても意義のある交流の時間となりました。

モスクワ文化センターでの「日本文化デー邦楽コンサート&ワークショップ」は、ロシアイベントの中で、一番客層も広く、観客の多いイベントとなりました。このイベントでは、お茶や書道など日本の文化を紹介する企画がたくさんあり、興味を持ち参加されている方々を見て、ロシアにおいて日本文化が根付いていることを感じました。

まとめ

日本文化デーセミナー&コンサートすべてのイベントを通じて感じたのは、観客の数に関わらず、日本の伝統文化である邦楽を真剣に見聞きしてくれる人が多いということです。サンクト・ペテルブルグでのワークショップでは、体験したいという方が子供から大人まで幅広く、観客の皆様が楽しそうに体験しているのが伝わりました。

今回、ロシアツアーの本来の目的である若手演奏家が日本の伝統音楽を伝承するということ、活動場所の開拓や、邦楽を共有するということを感じることができました。海外での公演や、海外の方々との交流のひとつひとつを糧に、活動拠点である日本での活動にもさらに活かすことを目指したいです。

フォトギャラリー

箏曲演奏家 福田恭子

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事一覧

ブログ*KoTo綴り*

楽曲解説

箏曲講座