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高千穂(山口巌作曲)

解説

明治39年(1906)に箏本手、明治43年(1910)に箏替手が作曲されました。

歌詞は、明治21年(1888)に発表された高崎正風によって、2月11日の「紀元節」に発表された祝歌です。

「紀元節」は、明治22年(1889)の『中等唱歌集』、同25年(1892)の『小学唱歌壱』、その翌年の文部省告示「官報第3037号附録」にも掲載され、終戦までは2月11日の「紀元節」(『日本書記』の蔦悦神武天皇の即位日、現行の建国記念の日)に歌われていました。

原曲は明治21年(1888)に伊沢修二によって作曲され、その詞章は四番まであります。

山田流箏曲では、全詞章を用いた曲《紀元節》があり、この曲には、一番の歌詞が用いられています。

手事部分の箏本手と箏替手は、互いに独自の旋律を保ちながら、複雑で入り組んだ節で構成されていますが、明治新曲らしい、明るく派手な合奏が特徴的な楽曲となっています。

歌詞

雲に聳(そび)ゆる高千穂の 高根おろしに草も木も 靡(なび)きふしけん大御世を
〔手事〕仰ぐ今日こそたのしけれ 仰ぐ今日こそ尊けれ

唱歌《紀元節》の全詞章
一、雲に聳(そび)ゆる高千穂の 高根おろしに草も木も 靡(なび)きふしけん大御世を 仰ぐ今日こそたのしけれ
二、海原なせる埴安(はにやす)の 池のおもより猶ひろき めぐみの波に浴(あ)みし世を 仰ぐ今日こそたのしけれ
三、天つひつぎの高みくら 千代よろづに動きなき もとい定めしそのかみを 仰ぐ今日こそたのしけれ
四、空にかがやく日の本の よろずの国にたぐいなき 国のみはしらたてし世を 仰ぐ今日こそたのしけれ

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