五段砧(光崎検校作曲)
第17回東京藝術大学岡山出身者によるジョイントコンサートより
(箏 本手:福田恭子/箏 替手:鳥越菜々子)
解説
光崎検校作曲
「段」とは「短い楽章」のことであり、《五段砧》は曲名の通り、5つの段(短い楽章)が連なった曲となっています。
「砧(きぬた) 」とは、昔各家庭で、夜に布を叩いて、皺(しわ)を伸ばしながら艶(つや)を出しており、その道具や作業のことを指します。
その音は、秋の夜に遠くまで響き、いかにも秋らしい趣を表すものとして、様々に音楽化されています。
この《五段砧》は、砧の音楽的リズムを基本に、様々な手法や旋律で編曲されている曲です。
歌詞
花は吉野よ。
紅葉は高雄、松は唐崎、霞は外山。
いつも常盤の振りは、さんざ、しらおしや。
とにかく想はるる。
現代語訳
名所といえば、桜なら吉野。
紅葉なら高雄、松なら唐崎、霞なら外山(とやま)でしょう。
同様に遊女にも吉野、高雄、外山なんてのがいますが、
いつも常盤の仕草は可愛いですね。
とにかく恋しく想われてなりません。
※「さんざ」は囃子詞で意味はない。
箏曲演奏家 福田恭子