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松竹梅(三ツ橋勾当作曲)

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モスクワ音楽院主催「日本の心」より
(箏:瓦田周/三絃:福田恭子/篠笛・能管:正田温子)

解説

この曲は、吉祥(きっしょう)の象徴とされる松・竹・梅の三つの主題をテーマにした曲であり、春から秋にかけての自然の景物を歌詞に取り入れた祝儀曲である。

歌の間に長い手事(歌と歌の間の手のみの間奏部分)を2つ含み、前歌には梅と鶯、中歌には松と鶴、後歌には月影に集う虫の声と秋風にそよぐ竹林を歌い、おめでたい物の象徴に満ちている。

三曲合奏で演奏されることが多く、この三曲合奏とは、元々江戸時代から始まった箏・三絃・胡弓による三つの楽器による演奏形態である。

後に胡弓の代わりに尺八で演奏されることの方が多くなり、今では箏・三絃・尺八の三曲合奏が一般的である。

今回の演奏会では、尺八の代わりに篠笛が加わった演奏形態で披露する。

歌詞

立ちわたる、霞を空のしるべにて、のどけき光新玉(あらたま)の、 春たつ今朝は足曳きの、山路を分けて大伴(おおとも)の、三津に来啼く鶯の、南より笑ひ初(そ)む、かをりにひかれ声の麗らか。

羽風に散るや、花の色香も、猶(なお)し栄えあるこの里の、浪花(なにわ)は梅の名どころ。

君が代は濁らで絶えぬみかは水、末澄(すえす)みけらし国民(くにたみ)も、げに豊かなる四つの海。

千歳(ちとせ)限れる常磐木(ときわぎ)も、今世の皆に引かれては、 幾世(いくよ)限りも嵐吹く音。

枝も栄ゆる若緑、生ひ立つ松に巣をくふ鶴の、久しき御代(みよ)を祝ひ舞ふ。

秋はなほ月の景色も面白や、梢々(はずえはずえ)にさす影の、臥(ふ)しどにうつる夕まぐれ、そともは虫の声々に、 かけて幾代(いくよ)の秋に鳴く、音を吹き送る嵐につれて、そよぐは窓のむら竹。

現代語訳

窓に立ち込める霞を春の道案内者として、長閑(のどか)な新年の日の光に今はもう立春(りっしゅん)である。

今頃三津に来た鶯は、南から次第に咲き初めた梅の木の香りに誘われて山路(やまじ)を分けてきたのであろうか、その声は何と麗らかなことであろう。

鶯が羽ばたく風に梅の花が散っている。

花の色香(いろか)も他所(たどころ)よりは一層見栄えがあるこの里、浪花は梅の名所である。

また、人々が、いつも濁ることなく清らかな水の絶えない堀のように、流れる水の末まで続く豊かな平和を祝っている。

齢(よわい)千年(せんねん)といわれる常盤(ときわ)の松の木も、この平和な今の世のめでたさに引かれて、さらに幾年と限ることなく、枝に当たる風が嵐のように聞こえるであろう。

繁茂(はんも)する若緑の葉の生いたつ松に、巣を作り住んでいる鶴が永久の御代を祝って舞っている。

秋は月の景色はとりわけ面白い。

木々の梢(こずえ)に射す月影の、臥床(がしょう)にうつる夕まぐれ、戸外(こがい)は虫の声々が年毎の秋に鳴いている。

嵐を吹き送る風につれて、窓下の竹やぶはさざめくようにさらさらと音を立ててそよいでいる。

箏曲演奏家 福田恭子

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